こちらの記事では
- ダイエット目的の懸垂って効果あるの?
- 懸垂をするだけで痩せることは可能?
- 懸垂初心者が注意するべきポイントって何?
といった疑問について解説しています。
ダイエットに効果的な筋トレを調べていると「懸垂をやるだけで痩せた」「細マッチョレベルなら懸垂だけで十分」といった情報を目にすることがあるかと思います。
実際、私自身もそのようなネット上の情報がきっかけで懸垂を始めましたが、結果的にはマイナス10kg以上のダイエットに成功しており、懸垂は体を引き締めるのにかなり効果的な筋トレだと実感しています。
下記画像は、私が懸垂を始める前と現在の体型を比較したものになります。
しかし、懸垂に対する認識が間違っていると、どれだけ懸垂を続けたとしてもイマイチ効果が出にくい場合があります。
「懸垂を始めて筋肉質に痩せたい」と考えている方は、今回ご紹介する内容を参考にダイエット目的の懸垂についてよく考え直してもらえればと思います。
懸垂がダイエットに効果的な理由
懸垂がダイエットに効果的である主な理由は以下の2点です。
- 筋肉量が増えることで普段の消費カロリーが増える
- 筋肉がつくことで体のラインにメリハリが生まれシルエットが良くなる
基礎代謝を上げて痩せやすい体になる
懸垂は上半身の様々な筋肉を効率的に鍛えることができるので、体の筋肉量を増やし基礎代謝を上げる効果が期待できます。
基礎代謝とは簡単に言ってしまうと寝ていても体が勝手に消費するカロリーのことであり、つまり、基礎代謝を上げれば痩せやすく太りにくい体になるということです。
そして、筋肉量を効率的に増やすには体の中でも大きな筋肉を鍛えることが重要です。
その点で懸垂は大きな筋肉である広背筋(背中)の他にも三角筋(肩)や腕全体の筋肉などを同時に鍛えられるので、基礎代謝を上げる筋トレとして効果的です。
ダイエットのための筋トレというと腹筋運動などを思い浮かべる人は少なくないかと思いますが、腹筋は体の中では比較的に小さい筋肉なので、基礎代謝を上げるという点では懸垂の方がダイエット効果は圧倒的に上になります。
また、懸垂などの筋トレによって基礎代謝が上がるのは、単純に筋肉量が増えること以外にも、肝臓や腎臓などの代謝が活発な内臓が大きくなることも影響していると考えられています。(※参考 国立健康・栄養研究所)
ネット上では「筋肉を1kg増やしても消費カロリーは13kcal程度しか変わらないから意味がない」といった声を聞くことがありますが、筋トレが体に与える影響は筋肉を増やすことだけではありません。
実際、2023年7月現在の私自身は、172cm63kgという成人男性としては標準的な体格ではありますが、筋トレを始める前とは変わって体重を増やそうと食べても食べても中々増えないくらいに体質が変わりました。
基本的には1日5食で主食のお米だけでも毎日大盛り5杯(約1680kcal)は食べていますが、気を抜くとすぐに体重が減ってしまうこともあります。
このような実体験から、個人的には筋トレをして基礎代謝を上げることは表面上の数字だけでは測り切れないダイエット効果があると実感しています。
筋トレの種目が必ずしも懸垂である必要はありませんが、大きな筋肉を鍛える筋トレは痩せやすい体を作る上では非常に重要なポイントになってきます。
体のシルエットが良くなる
懸垂は日常生活では発達しにくい筋肉を鍛えられるので、筋肉が大きくなった時の見た目の変化が大きいです。
特に、懸垂のメインターゲットとなる広背筋・大円筋といった背中の筋肉は、鍛えることで逆三角形の男らしいシルエットを生み出します。
ハードな肉体労働をしている人がたくましい腕や足をしていることは珍しくありませんが、背中の筋肉というのは日常生活の動きでは鍛えにくいので、いくら筋肉質でも自然と逆三角形の体になっている人は少ないです。
逆を言えば、懸垂のような種目は周りと見た目の差をつけるのに手っ取り早い筋トレ種目とも言えるかもしれません。
特に太り気味かつ寸胴体型に悩んでいるという人であれば、懸垂は大きな効果が期待できるかと思います。
なぜなら、ダイエットによって脂肪を減らしたとしても生まれつきの骨格が原因の寸胴体型は改善されにくく、逆三角形の体を目指すには懸垂などで背筋を鍛えて理想の肉付けをする必要があるからです。
また、懸垂は上腕二頭筋や三角筋後部(肩の後ろ側)といった部位の筋肉も鍛えられるので、とにかく上半身全体をバランス良く鍛えることができます。
体の見た目を良くするという目的でダイエットを行う場合は、体脂肪を減らすだけでなく、懸垂のようなボディラインを整える筋トレを行うと、よりダイエットの効果を実感しやすくなります。
懸垂だけで痩せることは難しい
懸垂がダイエットに効果的な筋トレであることは間違いありませんが、懸垂「だけ」で痩せることは現実的ではありません。
なぜなら、体脂肪を減らすには日々の消費カロリーが摂取カロリーを上回る必要がありますが、懸垂で消費できるカロリー量はあまり多くないからです。
例えば、体重70kgの人が懸垂を30分間行った時の消費カロリーは約294kcalとなっています。
運動による消費カロリーの計算式 = METs(運動強度)×時間×体重×1.05
※懸垂のMETsは8とする 参考:身体活動のメッツ(METs)表
294kcalという数字だけを聞いてもイメージが湧かないかと思いますが、1kgの体脂肪を減らすのに必要な消費カロリーは約7200kcalとなっています。
つまり、上記の場合に1日30分の懸垂だけで体脂肪1kg分のカロリーを消費するには約24日ほどかかる計算になります。
「3週間ちょっとで−1kgと考えたら悪くない」と思う方もいるかもしれませんが、懸垂は見た目以上にキツい筋トレであり、疲労した筋肉を回復させる期間が必要になるので、現実的には多くても週3回程度の頻度で行うことになります。
となると、上記の例で体脂肪を1kg落とすには約2ヶ月ほどかかる計算となってしまいます。
ダイエットのペースというのは、健康面的にはゆっくりであるのに越したことはありませんが、これでは見た目に成果が現れるまでの時間が長すぎて挫折しやすくなります。
なにより、294kcal程度の消費カロリー量はちょっとした食事が増えるだけで簡単に帳消しになってしまいます。
コカ・コーラ500ml 225kcal
板チョコ1枚 289kcal
菓子パン 401kcal
「懸垂頑張ってるしこれくらいならいいか・・・」といういい加減な食生活になってしまえば、筋肉は増えても体脂肪が減っていかないという状態が続いてしまいます。
前項では筋肉量が増えると基礎代謝が上がって痩せるということをお話ししましたが、それは食事管理が必要なくなるという訳ではありません。
食生活を一切変えずに懸垂だけで痩せるということは理論上は可能ですが、肥満度によっては年単位での継続が必要になります。
少なくとも、食事制限を同時に行う場合と比較すれば、見た目に変化が現れるまでの期間には倍以上の差が生まれるかと思います。
効率的に痩せるには食事制限をするべき
懸垂をしていようがしていまいが、結局は消費カロリー>摂取カロリーというカロリーバランスにならない限り痩せることは難しいです。
なぜなら、人の体は食事だけで活動エネルギーをまかないきれなくなることで、溜め込んでおいた体脂肪などを燃やしエネルギーとして消費していくからです。
つまり、痩せるためには消費カロリーを上げるか摂取カロリーを下げる必要がありますが、懸垂のような運動はカロリーを消費しづらいので、カロリーをコントロールするなら無駄な食事を減らして摂取カロリーを下げる方が効率的ということです。
汗だくになりながら何十分間もキツい筋トレをするのと、5分で食べ終わるようなオヤツを我慢するのを比べれば、どちらが取り組みやすいかは明白だと思います。
また最近はダイエットや筋トレブームの影響もあってか、様々なボディメイク食品が販売されているので、そういった食品を利用すれば食事制限のストレスを最小限に抑えることができます。
個人的にオススメなのがダイエット特化の宅食サービスです。
高タンパクかつ低カロリーな食事メニューは、懸垂のダイエット効果を最大限に高めながら食事制限をすることができます。
懸垂で体を引き締めたいのであれば、このようなプロによって考えぬかれた食事メニューを生活に取り入れるとより早く結果が出やすくなります。
筋トレは誰かに代わってもらうことはできないものですが、食事制限に関してはこのようなサービスを利用することで体力的・精神的負担を大きく減らしてくれます。
下記の記事では、私自身が実際に利用して最もダイエット効果を感じたダイエット特化の宅食サービス5選について紹介しているのでぜひチェックしてみて下さい。
懸垂初心者が注意するべきポイント
ここまでは懸垂のダイエット効果についてお話ししましたが、ここからは実際に懸垂を始める上で初心者が知っておきたいポイントについて2点だけ解説していきます。
懸垂をするための器具・場所
懸垂を始めるにあたってまず考えなくてはいけないのは懸垂をするための器具・設備の問題です。
主な選択肢としては、以下のような方法が考えられます。
- 比較的手軽な懸垂器具(突っ張り棒・ドア枠に引っ掛ける等のタイプ)を自宅に置く
- 自立式の懸垂器具(チンニングスタンド)を自宅に置く
- 公園の鉄棒などを利用する
- スポーツジムを利用する
個人的には、懸垂で体を引き締めようと考えているのなら自宅に自立式の懸垂器具を置くことを強くオススメします。
なぜなら、他のやり方では懸垂の手軽さや筋トレ効率が下がってしまいやすいからです。
それぞれの特徴について順番に解説していきます。
スポーツジム
懸垂をする目的だけでスポーツジムに通うのはハッキリ言って無駄が多いです。
スポーツジムというのは豊富なトレーニング器具を使って様々な種目の筋トレをやれるのが大きなメリットなので、懸垂のような1種目で色んな筋肉を鍛える筋トレを行うだけであれば、毎月のジム費用や通うための手間がもったいないです。
また、ジムにおいてあるような懸垂マシンは使い勝手は最高ですが設置台数が少ないので、他の利用者との取り合いになることは間違いなしです。
そして、わざわざジムで懸垂をやり込むような人は確実に筋トレ中級者以上の人ばかりなので、その中に全くの懸垂初心者が飛び込んでいくのは中々の勇気が必要になるかと思います。
「ジムに行く方がやる気が出るしお金は惜しまない」という方以外にはあまりオススメできません。
公園
公園での懸垂は環境によってやりやすさが大きく変わります。
まず一般的な公園の鉄棒は、懸垂をするのにはバーの位置が低すぎることがほとんどです。
そのような鉄棒での懸垂は体を縮こませる必要があり余計な力を使ってしまいやすいので、ただでさえ辛い懸垂がよりしんどいものになってしまいます。
また、公園の鉄棒に屋根はないので天気の影響を受ける・他の利用者の目が気になる、などの障害もあります。
何より、無理なく通える範囲に公園がないと懸垂のためだけに移動する時間や労力がもったいないです。
ハッキリ言って公園でやる懸垂というのは「無料」であること以外にはメリットがほとんどないので、よほど良い環境の公園でもない限りは一番オススメできません。
簡易的な懸垂器具
「家で懸垂がしたいけどデカい懸垂台は置きたくない」という方に人気なのが、ドア枠に引っ掛けたり壁に棒をつっぱらせることで懸垂バーを固定する簡易的な懸垂器具です。
このタイプの器具は設置スペースを取らない上に通常の懸垂台と比べると安価なので、懸垂初心者の方に特に人気があります。
しかし、このタイプの器具は使用方法や設置場所によってはバーが外れたり設置箇所が破損するといった可能性があります。
いっちょ筋肉つけたるかと思って懸垂バーをアパート室内に設置したら「メリメリ……メキッ」と敷金が削れる音がした pic.twitter.com/JHQ41AUPwE
— 赤い人 (@red765) December 7, 2021
起きて5分で懸垂開始!🔥
— ぷに@フォロバ💯 金魚屋なのに🐈4匹と生活 (@kingyo_honpo) December 20, 2021
懸垂をやりはじめ数回経過後
体を持ち上げた瞬間 体が浮遊
…と思ったのもつかの間 地面に落下 おしりを地面に強打
懸垂バーを引っ掛けていたドアの枠が壊れ 懸垂バーごと地面に落ちました😭
あまりの衝撃音に妻が飛び起きてきたほど‼️
明日からどうしよ?
あぁ…お尻痛い…😫 pic.twitter.com/8FJ1HRUTZ1
もちろん、そのような例は利用者全体で見れば少数派ですが、少なからずそういった可能性があることは事実です。
また、このタイプの懸垂バーは自立式のものと比べて横幅が短いものが多いため、懸垂の手幅を広くしたより広背筋に効かせる懸垂などを行うことが難しいです。
つまりはお手軽さのために性能や安全性を削っているので、体型を変えるくらいの熱量で懸垂に取り組むのであれば、あまりオススメできません。
費用に関しても、ある程度ちゃんとしたメーカーのものを選ぶと4000~5000円くらいはしてしまうので、それならばもう何千円か足してでも安めの自立式懸垂台を買う方が無難です。
「どうしても懸垂台を置く場所がない」という場合は仕方がありませんが、安物の懸垂バーを買うのだけはやめた方が良いです。
Amazonなどで検索すると、見た目だけは人気商品に寄せている怪しい日本語の商品がたくさんありますが、そういった安物でケガをしたり賃貸の壁を破壊したら元も子もないです。
自立式の懸垂台
ここまで紹介した方法の全てのデメリットを解決するのが自立式の懸垂台です。
自宅に懸垂台を置けば、わざわざ懸垂のために出かけたりする必要もなく、安心安全かつ効率的に懸垂に集中できます。
場所を取るのが最大のデメリットですが、多少を無理をしてでも一度設置してしまえば、その一画はそれだけで立派なトレーニングスペースになります。
私自身も無理をして部屋の隅・本棚の前というとんでもない場所に懸垂台を設置してしまいましたが、その圧倒的な存在感から懸垂をサボろうという気すら起きなくなり、結果として懸垂を続けて肉体改造に成功しました。
また、場所を取ると言っても自宅用の懸垂台であればイメージよりは省スペースで済みます。
私が使用している懸垂台はAmazonでもベストセラーとなっている「WASAI」のMK301というメジャーな家庭用懸垂台ですが、この懸垂台は幅70cm×奥行80cm程度のスペースがあれば設置できます。
値段も2023年8月現在で約8000円程度なので、ちょっと良い懸垂バーと比べれば数千円の差です。
おまけにこのような懸垂台には、腰あたりの高さにディップスというトレーニングをするためのバーが付いており、これがあるだけで腕を太くしたり胸を大きくするための高強度な筋トレが出来ます。
ディップスは懸垂と同じくらい人気のある効果的な筋トレなので、それが出来るのも懸垂台を設置するメリットの一つだと言えるかと思います。
「懸垂に挫折する可能性を考えると買うのが怖い」という方もいるかと思いますが、個人的には他の中途半端な方法を選んで環境や道具のせいで懸垂に挫折してしまうことの方が勿体無いと思います。
他の方法を試してみるのは全然アリですが、より確実に懸垂を継続しやすいのは自宅に自立式の懸垂台を置くことだと考えてもらえればと思います。
最初は出来なくて当たり前
ダイエット目的で懸垂をやってみるとイメージよりも全然できない・1回もできないということは珍しくありません。
なぜなら、懸垂は自分の体重がそのまま負荷となるので、肥満体型の人ほどキツい筋トレになってしまうからです。
「懸垂だけでいいなら続けられるかも」と懸垂を始めてみても、理想と現実のギャップに挫折してしまう人は多いです。
しかし、懸垂のような動きは日常生活ではまず行わないので、例え痩せていても出来ない人はたくさんいます。
なので仮に1回も懸垂ができなくても焦る必要はないので、まずは簡単な懸垂から始めて徐々にレベルアップしていきましょう。
実際の練習方法については様々なものがありますが、私自身は基本的な姿勢を意識しながらひたすらにジャンプ懸垂というものを繰り返していくうちに、少しずつ懸垂が出来るようになっていきました。
個人的には下記の動画がわかりやすくオススメです↓
「懸垂だけで十分」などと言った言葉が使われるのは、ある意味それほど懸垂はキツい筋トレだということを表しているようなものです。
これから懸垂を始めようか迷っている方は、懸垂はある程度ハードなトレーニングだということを覚悟しておくのがオススメです。
最初の内は思うような懸垂ができず地味でつまらない作業が続きますが、懸垂を綺麗なフォームで10回も出来るようになる頃には確実に体の見た目も変わっているはずなので、辛抱強く継続して懸垂の回数を増やしていきましょう。
まとめ
今回ご紹介した懸垂でダイエットをする時に重要なポイントのまとめは以下の通りです。
- 懸垂で筋肉をつけて痩せやすくメリハリのあるボディラインを目指す
- 懸垂とあわせて食事制限を行い体脂肪を効率的に落とす
- 自宅に懸垂台を置き、焦らずじっくりと継続していく
ハッキリ言ってしまうと、ただ痩せることだけが目的なのであれば、懸垂などの筋トレよりも食事制限を頑張る方が効果は出やすいです。
しかし、食事制限をするだけでは綺麗なボディラインを作ることは難しく、また筋肉量の少ない太りやすい体になってしまう可能性があります。
どうしても筋トレと食事制限を同時にできないという場合は、まずは食事制限のみである程度体重を落としてから、食事量を増やしつつ懸垂を始めるのがオススメです。